奨学金の返済未納者が増えている現状

奨学金を借りたものの、返済できずに未納のままでいるケースが増えてきています。

未納者の数は2012年の統計では33万人を超えており、15年前と比べて2倍近くにまで及んでいます。未納になっている額は900億円を下らないといわれており、制度の土台を揺るがしかねないとして問題視されています。

このまま運営に支障を与えれば、将来奨学金を必要とする学生にも不利益を与えてしまう可能性もあります。

ここまで未納者が増えてしまった主な理由として、卒業後に返済に足る安定収入が得られる職につけないこと、学費が高騰しておりそもそもの借入額が多くなってしまうことなどがあげられています。

日本の奨学金の代表ともいえる「日本学生支援機構(育英会)」では、無利息の第1種と利息ありの第2種がありますが、そのどちらも貸与型なので返還しなければなりません。

卒業と同時に返済が始まりますが、災害や病気、失業などによる経済的困難など何らかの理由で返還が難しくなった場合には、一定の猶予期間がもらえます。もしこの猶予を受けずに未納のままでいると、年利10%という高い延滞利息がつくだけでなく厳しい措置がとられることになります。

返済期間に時効はあるのか

インターネットで少し調べてみると「奨学金は10年で時効になる」という情報に出会うことができます。

それでは単純に、10年たてばもう返済しなくても良いのでしょうか。

未納者が増え、回収する側も対策を非常に強化している現状ですので、実際に10年間返済せずにいることはまず不可能だといえます。

返済が3ヶ月滞ると、金融事故情報として個人信用情報機関に登録されてしまい、俗にいう「ブラックリスト」となりその後の人生に悪影響を及ぼす可能性もあります。

さらに未納のまま放っておくと、債権回収代行会社に債権譲渡され督促がかかり、それにも応じなければ最終的に裁判所に支払いの申し立てをされ、財産の差し押えを強制執行されてしまいます。

また仮に時効の10年が経過したとしても、債権が消滅するわけでも、個人信用情報から「延滞」の情報が消えるわけでもありません。

「この債務は時効である」と自分で時効の援用を宣言する必要があったり、本当に時効に必要な10年が経過したかなど、素人では判断が難しいことが多々あります。奨学金といえど借金に変わりありません。借りたお金は返すという責任をきちんと果たしていくことが大切です。

奨学金と教育ローンについて

奨学金も借金だと述べました。

それでは融資を受けるという点で、奨学金によく似た「教育ローン」とはどう違うのでしょうか。

まず第一に、奨学金は学生本人が申し込み、本人が返済義務を負うのに対して、教育ローンは保護者が融資を受け、保護者に返済義務があるということです。

また、融資額の上限は奨学金の方が多くなっていますが、いつでも申し込み可能で最短2週間ほどで融資が受けられる教育ローンに対し、奨学金は申し込みの時期が決まっており、申し込み後もすぐにお金を受け取れるわけではありません。

そのため、例えば入学金や大学1年目の前期学費のように前もって支払うまとまった金額がない場合には、教育ローンを利用する必要があります。

始めに必要な最低限の費用を教育ローンでまかなっておき、その後の大学生活に必要な費用に奨学金を利用するといった方法もあります。利子ありの奨学金でも在学中は利息は発生しませんが、教育ローンは在学中から利息が発生し、返済も始まります。

ただ、卒業するまでは元金の返済を据え置いて利子のみの支払いにすることもできます。どちらの内容もよく理解して、必要に応じて計画的に活用すると良いでしょう。返済可能かどうか事前にシミュレーションして融資を受けることが大切です。

利用するにあたっての審査

奨学金制度の対象となるのは学力や能力があり進学の意思がある学生、家庭の経済状況により進学が難しい学生などです。

奨学金の種類によっては、家庭の経済状況に関わらず突出した学力や能力のある学生に給付するものもあります。国や都道府県が行っている公的なものと民間が行っている奨学金があり、それぞれで細かい基準の違いはありますが、前記の対象者の条件を満たしているかどうか審査が行われます。

具体的には、学生本人の人物像や健康について、学力の水準を満たしているか、家族構成や家計についてなどです。審査に通らないと奨学金を受けられません。

自分が申し込みをする奨学金の審査基準は、あらかじめ学校や機関に確認しておきましょう。学生の勉学を支えるものなので、通常のローンなどと違って家庭が経済的に困窮していても借りることができます。

ただし成績に関する審査基準もあり、高校の学内成績などで判断されます。その点教育ローンでは、返済義務を負うのは保護者であるので、成績などは関係なく、親に返済能力があるかどうかが問われます。

在学する学校を通して申し込みをすることになるので、担当係や奨学金説明会を通して情報収集を心がけましょう。